森さんご夫婦

★令和2年度から「移住者のみなさん」紹介ページの形式を変更しています★

復活した酒蔵でより良いものを追求し、地域のコミュニティと笑顔を未来へ繋げたい

出身地:大分市(健太郎さん)、宮崎県(純さん)
現住所:豊後大野市朝地町
職業:蔵元杜氏

明治37年創業の酒蔵を受け継ぎ、平成20年に焼酎蔵として復活させた森健太郎さん、純さんご夫婦。移住者ながらも地域を想い、酒造りを極める熱い姿勢をもつお二人にお話しを伺いました。

Q1. 豊後大野市に移住したきっかけと経緯をおしえてください。

健太郎さん:親戚の酒蔵を承継することになったことがきっかけです。それまで大分市で会社員をしていたのですが、もともと何か自分で事業をしてみたいという気持ちがありました。そんな矢先に豊後大野市にある親戚の酒蔵の跡継ぎがいないという話があり、ぜひやってみたいと手を挙げたんです。

純さん:当時まだ交際中だった夫が酒蔵を受け継ぐと聞いて、豊後大野市の場所もどんな所かも分からないまま結婚をしてついて行きました。今ではついて行って本当に良かったと思っています。

趣と歴史を感じる酒蔵の外観

Q2. 知らない地での経営に不安はありませんでしたか?

純さん:最初は、はじめて挑戦する酒蔵経営を本当にやっていけるのか、不安な気持ちは沢山ありました。でも、夫の酒造りに対する想いの強さがすごかったんです。とことん酒に向き合い、突き詰めていく熱さと真面目さに「すごい」の言葉しか出ませんでした。

酒蔵の女将としての純さんのおもてなしは
多くの来訪者へ元気をあたえる

-ご主人の情熱が人気の焼酎蔵を復活させたのですね。

健太郎さん:もともと明治37年に創業したこの酒蔵は、焼酎ではなく清酒を製造して他の会社におさめる子会社でした。私が受け継ぎ平成20年に焼酎蔵となったのですが、当初は「製造」に課題を感じていました。昔は製造する期間だけ専門家である杜氏を雇い、酒造りを進めていくスタイルが一般的だったのですが、私たちには経営者自身が酒を造って味に個性を出し、「つくる人の顔が見える」ものを自らの手でPRして販売していくことが大事だと思いました。そのため現在私たちは蔵元と従業員で製造から販売までを行っています。独自の味を徹底的に追及し極めていきたいと思っています。

純さん:おかげ様で少しづつ、市のふるさと納税の返礼品として登録させていただいたり熊本国税局酒類鑑評会で評価をいただいたりと、多くの方に触れてもらう機会が増えて大変うれしく思います。

従業員のみなさんと

Q2. 豊後大野市での暮らしはいかがですか?

純さん:豊かだなと感じることがとても多いです。美味しい水、お米、お野菜があって地域の人も素敵な方が多い。そして何より子育てするには最高の環境だと思っています。

-どのような時に子育て環境の良さを実感しますか?

純さん:まず、子ども一人ひとりに対する地域の方々の関心の度合いがすごいんです。何でも声を掛けてくれて一緒に遊んでくれたり学校からの帰り道に野菜を持たせてくれたり…地域の皆さんが一緒になって子育てをしてくれているような感じがします。学校では地域の人が畑の先生となって、大豆を一から育てる味噌づくりや基礎的な農業を教えてくれたりと、都会ではなかなかできない体験を味わうことができて贅沢だなあと思います。そんな地域で育ったからか、小学4年生の子ども達は毎朝味噌汁を作ってくれたり、家の前の川で魚を釣って自分でさばいて食べたりしています。ここでの暮らしは、生きていく上で大切なことをしっかりと学び、支えてもらえる環境がそろっているなと実感します。

-暮らしの中で大変なことや課題を感じることはありますか?

純さん: どんどん人口が減り子どもも減っている地域の現状には大きな課題を感じますが、なんとかして地域の活力やコミュニティを守っていきたいと住民の一員として思います。 やはり人は一人では生きていけません。助け合って生きていくためには、いくら地域の人口が減り続けていっても、そのコミュニティが崩れないよう維持させる必要があると思います。自分にもできることを発見したら積極的に行っていきたいと思っています。

Q3.最後に、これからの夢を教えてください。

健太郎さん:お酒の世界というものはとても面白いものです。人によっても味の嗜好が変わるし、手掛けた時間や手法はバラバラでも同じ土俵で評価される。そんな魅力のある奥深い世界で、これからも技術の粋(すい)を極めていきたいと強く思っています。

純さん:お酒が繋げる笑顔をこれからも維持できたら幸せです。そして、リユースされた瓶に詰めたりと環境にやさしい商品づくりにもこだわり続けたいです。またここでの暮らしを楽しみ、子どもたちの笑顔と活気のある地域のコミュニティを守っていきたいと心から思っています。

取材:令和2年度5月

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